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「国民の司法参加について
今年の6月、司法制度改革審議会の最終意見書が提出されました。その意見書の内容の一つとして「裁判員制度」の導入があります。この「裁判員制度」とは国民の司法(裁判)参加に関する新たな制度です。 では、この「裁判員制度」がどういうものなのかをお話する前に、より理解を深めるため、他の刑事裁判の形式を紹介します。 まず、「職業裁判官制度」について説明します。「職業裁判官制度」とは、文字通り職業裁判官(裁判官を職業としている人達)のみで、事実認定(有罪か無罪か)、量刑(有罪であった場合、どの程度の刑を与えるか)を判断する裁判形式です。裁判官の人数については国によって様々ですが、現在の日本では裁判長、右陪席、左陪席という3人の職業裁判官で審理を行っています。 次に「陪審制度」について説明します。 「陪審制度」とは、国民の司法参加の形態の一つであり、おおまかに言うと、一つの事件ごとに選挙人名簿から無作為に抽出された一般市民(「陪審員」と呼ばれる)事実認定を行い、量刑については職業裁判官が判断するというものです。陪審員の人数は、主な導入国であるアメリカでは一般に十二人とされていますが、やはり国によって人数が違います。この制度では、裁判中、職業裁判官と陪審員は別々の席に座らせられます。これは、一般市民である陪審員が職業裁判官というプロの意見に流されないようにとの配慮によるものであると考えられています。 さらに「参審制度」について説明します。「参審制度」とは、国民の司法参加形態の一つであり、人気を決められ選挙人名簿から無作為に抽出された一般市民(「参審員」と呼ばれる)が、職業裁判官と「共働」して、事実認定と量刑を行う制度です。職業裁判官と参審員の人数比は、国によって違いがありますが、主な導入国であるドイツでは判官と参審員の人数比は、国によって違いがありますが、主な導入国であるドイツではたとえば、州裁判所において職業裁判官3人に対して、参審員2人とされています。 この制度では、裁判中、職業裁判官と参審員は同じ席に座り、同等の権利が認められています。参審員と職業裁判官の「共働」というのがこの制度を理解する重要なキーポイントであるといえるでしょう。 そして、今回の模擬裁判のテーマでもある「裁判員制度」です。その制度は、裁判において選挙人名簿から無作為に選ばれた一般市民(「裁判員」と呼ばれる)が職業裁判官と同じ権限を持ち、裁判中、証人・被告人への質問が認められ、かつ、事実認定、量刑を職業裁判官との合議によって判断するというものです。ここまでは、ほとんど「参審制度と同じですが、任期制をとらず事件ごとに裁判員が選出される点で参審制度とは異なり、むしろ、陪審制度と共通性を持ちます。 さて、いまだ我が国で検討中の問題の一つとして「職業裁判官と裁判員の人数比」が残っています。多くの法学者は職業裁判官3人に対して、裁判員4人とするのが妥当であろうという見解を示していますが、最終決定には至っていません。 また、対象事件の問題について「法定刑の重い重大事件」という抽象的な表現にとどまっており、どの程度の事件を、「重大事件」と認定するのかという問題があります。この対象事件の問題について、司法制度改革審議会は、「裁判員の安全保持などのため取るべき措置については検討すべきだ」とし、組織的犯罪やテロ事件などの特殊な事件を対象事件から外すことも考えなければならないとしているなど、まだまだ残された検討課題は多いのです。 いずれにしてもこの「裁判員制度」を導入するには、細かい内容の審理・法の制定・国民への周知期間などといったことで、実際に制度を施行するまでには相当時間を要すると思われます。 そこで一般市民の方々も社会で起こっている様々な事件に関心を持って、法的知識を身に付けることの意義を見出し、意欲を持って学んでほしいと思われます。 参加文献 平良木登規男「参審制度について」法学研究67巻7号(1994年) ヨアヒム・ヘルマン著、小暮得雄・丸山治共訳「陪審制と参審制」北大法学論集28巻3号(昭和52年)