「裁判員制度と冤罪」への挑戦。 代表 辻 芳弘

第一回模擬裁判の様子
 昨年11月5日、「参審制度による精神鑑定の行方」をテーマにした第2回模擬裁判が成功し、学内外から望外の公表を博しました。また開設しているホームページには多くのアクセスを頂き、多くの方から本学の模擬裁判へのさらなる期待を受け、今年度も模擬裁判を開催する運びとなりました。  今年6月には一昨年より開かれていた司法制度改革審議会の最終答申も出されて、日本国内における「法科大学院(ロースクール)設置構想」や「国民の司法参加」など司法制度改革の動きが活発化しています。わが模擬裁判も、第一回より最終答申の中にある「国民の司法参加」を掲げ、参審制度による刑事裁判の模擬裁判を行ってまいりました。第一回は古くから問題になっている「安楽死」の問題、第2回は最近では大阪・池田小児童殺害事件が記憶に新しい「精神鑑定」という非常に難しい問題。そして今回は、無実の人がいろいろな原因によって「犯罪者」のレッテルを張られてしまうという、いわゆる「冤罪(えんざい)」について取り上げます。また、今回の模擬裁判の形態を司法制度改革審議会の最終答申を受け、「裁判員制度」による模擬裁判としました。この制度はわれわれが過去二回の模擬裁判で取り上げてきた「参審制度」に近い形になるともいわれています。今回の模擬裁判は国内ではおそらく裁判員制度による唯一の模擬裁判であり、今後の「国民の司法参加」の動きに多少なりとも貢献できるのではないかと考えています。そして私たちは、裁判官の人数を2人、裁判員の人数を3人の計5人で冤罪事件を審理することにしました。  今年度は、3月末より今日のためにこの模擬裁判の準備を行ってまいりました。今回は大学近隣自治体の教育委員会に加え、群馬県・茨城県内自治体の教育委員会からもご後援を賜り、弁護士会による法廷考証によるご協力、一般企業や近隣店舗からのご協賛、紹介ホームページ用に「mogisai.com(モギサイ・ドット・コム)」のドメインを取得し、Eメールでの傍聴予約の開始など、前回までの準備活動に加え、特にインターネット上での広報活動を強化しました。更に、独自に作成した裁判員制度法案に基づいて選任・忌避方法、人数配分、労働基本権の保障等を視野に入れ、劇中では山積している裁判員制度に関する問題を提起したつもりです。  自分自身としては今年3月に代表をお引き受けしたとき、正直「自分のような人間が、このような企画をやり遂げることができるだろうか?」不安でした。しかし、諸先生・諸先輩方からも多くのご指導・ご鞭撻を受け、何とか幾多の「艱難辛苦」を乗り越えてきました。そして自分自身も模擬裁判に携わることによって少しずつ成長してきているように思えます。  最後に模擬裁判関係者をはじめ、本日お忙しい中お越しいただいた皆様に深く感謝申し上げます。とりわけ、裁判官の増設など、理事長先生には多大なご配慮を頂き厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
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