精神鑑定について

第一回模擬裁判の様子
博士:ところで、手塚君。犯罪が成立するためにはどんな条件が必要なのか分かるかね? 手塚君: えーっと、ちょっと分からないですけど、正当防衛とかのことですか? 博士: まっ、それも関連するんだけどな。大きく三つに分けられるんだ。一つには構成要件該当性というもので刑罰法規において定められる行為を行うこと。今回は13人を殺しているので、刑法第199条の殺人罪の行為に当たる。これで犯罪成立に一歩近づいたわけだね。  次に違法性の問題が生じるが、手塚君も述べたように正当防衛や緊急避難などが違法性を阻却する事情として扱われ、条文としては刑法36・37条が問題になる。今回取り扱う事件ではこのように違法性を阻却するような状況ではない。  そこで最後に犯罪成立のためのハードルになるのは有責性の問題である。これは刑法39条にあげられるもので、1項では心神喪失者はその行為を罰しないとしており、また、2項では心神耗弱者の行為は刑を軽減するとなっている。今回の事件ではこの有責性が問題となる。その有責性の有無を判定するための精神鑑定では被告人が犯罪行為を行った時点まで遡って精神障害であるかどうかを判断することになる。 手塚君:具体的には精神鑑定というのはどんな過程を経るのですか? 博士:精神鑑定は起訴前の鑑定というのは裁判をする前に検察官の委託で行われる官邸で有罪を立証するための精神鑑定で、本鑑定と簡易鑑定がある通常、簡易鑑定がこの場では行われる。一概には言えないがこの簡易鑑定では二時間から三時間位のテストで被告人の精神鑑定を行う。  これに対して司法鑑定は裁判を行う時点において弁護人が精神鑑定を請求したり、裁判所の命令で行われる鑑定で本格的に被告人の精神の状態の鑑定を行うので数か月にわたって鑑定することがある。  こうした精神鑑定によって被告人が心神喪失の状態であったのか。それとも刑事上の責任能力があるのかを判断するのは裁判官の裁量によるとされているのだよ。
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