ビバ!模擬裁判 顧問 小暮 得雄

第一回模擬裁判の様子
 創基4年目を迎えたわが平成国際大学の学祭で、初めて模擬裁判が催されることになりました。もし、大学祭の行事に“定跡”ないし“定番”とでも呼ぶべきものがあるとすれば。<模擬裁判>は、紛れもなく、法学部系大学祭の定番といってよいでしょう。  <社会あるところに法あり>という格言がつたえるように、人間が集まって社会生活を営むところ、様々な利害や葛藤を調整するために“法”が生まれ、法的な紛争を解決するために“裁判”が必要となります。いったい法とは何か?そして裁判はどのような仕組み・手順で行われるのか?とかく国民から遊離司法との距離を埋めるために、法学部を持つ“錚々”たる大学では、大学の呼び物として競って模擬裁判を目玉としてきました。  開学4年。ようやく本学でも模擬裁判の機運が熟しました。<安楽死>というテーマそのものは、模擬裁の主題としてとくに目新しいものではないにせよ、数年前に起きた<東海大学病院事件>が印象づけたように、ペイン・クリニックの発達めざましい現在でも、それが決して過去の問題ではなく、なお十分に今日的テーマでありうることを訴えています。その辺はともかく、今回の催しの“売り”としては、本学法廷の“コケラ落し”であることに加えて、市民の参審員がいわば素人裁判官として法廷に同席する、<参審制>を採った点を挙げることができるでしょう。現在、我が国では、司法改革の課題として、<陪審制>の導入が取りざたされています。今回の試みは、その際、参審制もまた、我が国における司法参加の有力な選択肢であることを示唆するように思われますが、いかがでしょうか?  参審方式を機縁として、学生ばかりではなく、実さいに近隣地域の方々のご参加、ご協力をいただいたことも特筆に値いするもので、今後の大学祭、ひいては大学そのものの在り方を考える上で、貴重な経験となりました。  模擬裁には、主題の今日性に加えて、正確な“司法考証”が求められます。それにドラマとしての面白さが加味されれば、模擬裁としては上首尾といえましょう。その辺の評価については、ご覧の上の皆様のご判断に待つほかありません。ともあれ、この数か月、学生諸君は寸暇を惜しんで模擬裁に没頭してきました。今後、模擬裁が本学恒例の行事として定着するかどうか定かでありませんが、今回の催しが多少なりとも皆様の司法への関心を喚びおこすよすがとなり得たとすれば、企画に携わったもの一人として、望外の幸いに存じます。   判制度で安楽死を裁く-」の成功を期待する。
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