模擬裁判の持つ様々な意義 学長 中村 勝範

 
第一回模擬裁判の様子
 平成国際大学は平成8年4月に開学した。今年で4年目である。学生もようやく1年生から4年生まで揃い行われる。新しい催し物として「模擬裁判-参審制度で安楽死を裁く-」が催されるという。  多くの人々は多分、裁判のお世話になったことはないし、裁判所を見学したこともない違いない。今回、大学内において模擬とはいえ、裁判の一部始終を見ることができるのである。勉強の機会であると思う。  法学部としての古い歴史と伝統を有する大学においても、学生が自主的に模擬法廷を催すことは簡単ではない。それをいまだ卒業生も出していない、新しく、若い本学の学生が敢然として取り組むのである。その意欲に感動する。  模擬法廷は意欲だけでできるものではない。事件をめぐって攻める者と守る者の法理論が真正面から対決するのであるから、模擬とはいえそこでたたかわされる法律は、現実の生きている法律である。小暮得雄教授、細田泰弘教授、中島広樹教授他多くの先生方、学友の智恵を借りたであろうが、よくぞ学問的な仕事を完成させたものである。そのタフな知力に敬意を表したい。  掲げるテーマが「安楽死」であるという。いかにも今日的テーマであることもまた、注目される。  参審制度というのは、今日、我が国の法務省あたりで議論されているようであるが、まだ実現しているわけではない。米国の陪審制度とも違うらしい。欧州のいくつかの国で採用されているが、国により形が多少違うらしい。より公平にして適切な裁判を目的とする新しい制度であろう。見学者はじっくり見学することにより、この制度に対する各自の考え方持つことができるようになると思う。  さらにこの模擬法廷は、演ずる者、舞台装置を作る者、準備のために使い走りする者約20人ほどの学生の一致協力があって完成するのだという。春から11月まで、半年に近い月日を一心同体でここまで漕ぎつけたチームワークは、賞賛に価する。  多くの意義を持つ「模擬裁判-参加審判制度で安楽死を裁く-」の成功を期待する。
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