公判までのあらすじ

第一回模擬裁判の様子
 この事件の被害者である山田一郎は埼玉県加須市にある平成総合病院に入院していた末期がん患者である。山田一郎は平成11年3月に自分が勤務するH国際印刷株式会社の工場において大量の吐血をし、平成総合行員に入院した。この山田一郎の主治医として今回の事件の被告人である坂野賢司医師が担当することになった。  平成11年7月になると山田一郎を担当する看護婦が山田一郎に対して誤って強心剤を注入した。そのことによって、一郎は平成総合病院に悪感情を抱き、被告人である坂野医師にたいしても塩入のコーヒーを飲ませたり、坂野医師が座る椅子に画鋲を仕込んだりするようになり、坂野医師も一郎に対して嫌悪感を持ちはじめるようになっていき両者の関係は急速に悪化した。また、坂野医師は趣味のインターネットで他人と会話できるホームページにおいて一郎に対する殺意をにおわす発言をしていた。   被害者である一郎には妊娠中の妻がおり、常々「子供の顔を見るまでは死ねない」と周りに漏らしていた。しかし、病魔が一郎を襲うたびに「苦しい、痛い、早く楽にしてほしい」と漏らすようになっていった。一郎の家族、特に弟である山田泰洋を中心にい取るに対して安楽死を行うように坂野医師に対して要望書を提出し家族は一郎に対しても一筆書かせた。始めのうち坂野医師はその申し入れを断っていたが、日増しに一郎の症状が悪化し坂野医師も、これ以上引き延ばせないと思い、承諾する。  平成11年8月24日坂野医師は看護士の仲田剛を引き連れ一郎の病室に向かう。そこで、坂野医師は安楽死をする際に家族意思を聞き、本人である一郎に対しても確認するが「痛い、苦しい、早く・・・・」と漏らすだけであった。坂野医師がそれが安楽死の意思だと解釈し、一郎を安楽死させるに至った。その現場にいた仲田は患者の体を抑えたことに対しての強い反省の念を抱き、警察署に通報し、警察は坂野医師を逮捕するに至った。裁判では検察は怨恨に基づく殺意があり、仮に安楽死だったとしても被害者の同意がなかったので安楽死の条件が欠いているとして刑法199条殺人罪の適用を求めた。対して、弁護士側はあくまで被告人の行為は安楽死であって、被害者の同意があったとし、殺人罪は適用されないと主張する。はたして、被告坂野医師は有罪か無罪か今、裁判が開廷される。 魅惑の果実シリーズ第2話「諦めの良いヒポクラテス」より
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