安楽死って何

第一回模擬裁判の様子
 安楽死とは不治で瀕死の状態にある者の真摯な要求に基づき、その耐えがたい肉体的苦痛を除去するため、楽に死なせる方法を講ずることである。  ところで、医師達は古代以来1900年代までは安楽死を知りつつも、多くを語らなかった。しかし、1908年、イギリスに安楽死協会ができてから、安楽死問題は一般に普及するようになった。 安楽死は次ような分け方がある。 純粋安楽死・・・・生命の短縮を伴わないもの(適法な治療行為ゆえ適法) 消極的安楽死・・・死苦を長引かせないため、積極的延命措置を取らない場合。 間接的安楽死・・・死苦の緩和の為の麻酔薬等が、副作用として結果的に若干の生命の 短縮を伴う場合。   積極的安楽死・・・安らかな死を迎えさせるために病者を殺害させる場合。  このうちB~Dは病者の死期を早めさせることになるから、殺人罪や嘱託殺人罪、自殺関与剤が成立するかどうかで問題になる。  名古屋高等裁判所は安楽死が適法となるための6つの条件を示した  病者が現代医学の知識と技術から見て不治の病に冒され死期がが切迫していること。  病者の苦痛がはなはだしく、何人も真意見るに忍びない程度のものであること。  もっぱら病者の死苦の緩和の目的でなされたこと。  病者の意識がなお明瞭であって、本人の真摯な嘱託また承諾があること。  医師の手によることを本則とし、これによりえないときは、それを首肯するに足る特別な事情があること。  その方法が倫理的なものとして容認しうること  その後、平成7年横浜地方裁判所判決は自己決定権に配慮したうえで、安楽死の正当化要件を示した。上記二の「苦痛」を「肉体的苦痛」と限定し、四を患者の明示の意思表示に限定したほか三五六に代えて、新たに「苦痛の除去・緩和の為ほかの医療上の代替手段がないこと」を要求した。 <参考文献> 大谷實著「刑法講義総論(第四版補訂版)」303頁(平成8年) 松宮孝明「刑法総論講義(第二版)」121頁(平成11年)
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